歯磨き粉に含まれている「研磨剤」は悪者?

私達が普段使用しているペーストタイプの歯磨き剤には研磨剤という成分が含まれていることが多いですよね?
そこで今回は、やはりどうしても気になってしまう「研磨剤の影響」について取り上げてみたいと思います。

まずは研磨剤とはどのような表記で商品に記載されているのかということですが・・・
私が現在使用している「Lionのクリニカ」の成分表を見てみると「清掃剤…無水ケイ酸A」という表記があり、この清掃剤というものが研磨剤の正体となっております。
ここでクリニカの場合は「無水ケイ酸」が配合されてますけど、それ以外にも「シリカ」とか「炭酸カルシウム」、「リン酸水素カルシウム」、「水酸化アルミニウム」などの成分が現在ハミガキ剤に使用されているようなので商品によって違いがある(研磨力に差がある)ので一度ご確認されてみるのも面白いかもしれませんね。
※無水ケイ酸やシリカは比較的研磨力が強く、炭酸カルシウムは研磨力が弱めです。

それにしても「研磨剤」という言葉自体がけっこうインパクトの強い言葉ですので、「歯をガリガリと削りとってしまう…」なんてイメージをついつい持ってしまいがちですが大前提として覚えておかないといけないのは・・・
通常のチカラで手磨きでのブラッシングをするぶんには歯の表面への影響はそれほどないってことなんですよね。
ですので手磨きでブラッシングしている人が「研磨剤ってなんか怖いから研磨剤入りの商品を使うのはヤメておこう!」なんて考えてしまうのは・・・研磨剤には「歯の表面の汚れをしっかりと落してくれる」という大切な効果があることから少し早い判断ということになりますよ。

とはいえ研磨剤によって汚れを落とすパワーが上がるため、いちおう研磨剤入りのハミガキ剤を使用しないほうが良いケースはもちろんありまして・・・
●電動歯ブラシを使用している人
●手磨きでもゴシゴシと力いっぱい歯を磨いてしまう人
●食後スグのブラッシング時
●歯茎が下がってきている人、知覚過敏の人
などの場合には研磨剤入りのハミガキ剤の使用は避けるのが良いとされています。

ちなみに、「なんで上に挙げた人やタイミングでは研磨剤入りのハミガキ剤の使用を避けたほうが良いのか?」というのは・・・皆さんもなんとなくお分かりかもしれませんけど・・・

まず、電動歯ブラシを使ったり力いっぱいブラッシングをすると歯磨き粉を作っているメーカーが想定しているよりも大きな力が歯に加わってしまうために元々はキズが付きにくい歯の表面とはいえ歯ブラシの摩擦の影響が出てしまうケースがあるんですよね。

そして「食後スグでのブラッシング」に関しては・・・人間のお口の中は食事をすると酸性に傾きやすく、食後は「脱灰(=歯のカルシウムが溶け出す)と再石灰化の綱引き」が始まってしまいます。
この綱引きは食後30分程度まで「脱灰が優勢」なので「歯が普段よりも弱くなっている食後スグの時間帯」は普段よりもキズがつきやすい状態になるため、この時には手磨きで優しく磨くようにしましょう。

ただ・・・よく食後は絶対に歯を磨いてはイケない!みたいなことが言われることはありますが・・・
個人的には「結局は力の入れ具合の問題」であって、食後スグに歯を磨くこと自体にはあまり問題はなく「強めの研磨剤や電動歯ブラシを使わずブラシを細かく動かして歯を磨く」ようにすれば良いと思いますよ。
(「食後に歯を磨く」という習慣が身につくと「ブラッシングのやり忘れ」を防げますし♪)

そして最後の「歯茎が下がっている人」は、歯茎が下がっていることで歯の根元部分が露出してしまっているケースが多いんですよね。
歯の根元部分は「歯の表面を覆っている強度のあるエナメル質」ではなく「セメント質」という傷つきやすい成分でできているため「歯の根元を研磨剤入り歯磨き粉でゴシゴシとブラッシングすると手磨きでも傷が付いてしまうことがある」のでお気をつけ下さいね。
知覚過敏はこの根元部分の露出が深く関係しているので、冷たいものを飲んでしみる人も同様ですよ。
(歯根部分の歯の傷つきは、特に歯並び的に「犬歯(八重歯)」などのカーブしている部分にある歯にはブラシの力が加わりやすいので注意。)


・・・というわけで、歯磨き粉に含まれている研磨剤について取り上げてみましたが・・・
ここまで記事を読まれた上で「やっぱり研磨剤入りの歯磨き粉は使いたくない!」と思っておられる人は、「研磨剤入りの歯磨き粉であるかどうか?」を判断するポイントとして商品の成分を細かく見ることも大切ですけど、研磨剤が入っていることが多い練り状の歯磨き粉ですと「この商品は研磨剤は使用していません。」みたいなウリ文句?が記載されているあることが多いのでそちらを参考にされると簡単に探せますよ。



・・・まぁ、コンクールFなどのジェル状のハミガキ剤ならば研磨剤は入っていることがないので「見た目(ハミガキ剤の形状)で判断してしまう」のがもっと楽なんですけどね♪



この記事のまとめ

  • 歯磨き粉の中に含まれている研磨剤は「清掃剤」という名称で表示されている
  • 研磨剤は成分によって研磨力の差があるとはいえ、「歯の汚れを効率的に落としてくれる成分」でもあるので過度に避ける必要は無い
  • 「研磨剤が含まれた歯磨き粉を使用すること」よりも「ブラッシング時の力の入れ具合」などを見直すことがまずは大切
  • 特に「犬歯の表側部分」はどうしても一番ブラシの圧力がかかりやすい部分なのでブラシの動かし方には気を使いましょう
  • 研磨剤を使いたくない人は「ジェルタイプのハミガキ剤」を選ぶと安心